ひとりごと vol.1

朝、夕だいぶ過ごしやすくなって、着物が着やすい時期になってまいりました。
仕事の中で、ふと思ったことをつづっていこうと思いますので、お時間がございましたら、さらっと読んでみてください。
最近、お電話で、きものを久しぶりに出してみたら、シミがあったのですが、いくらぐらいで取れますか?
きものにしみがついたのですが、とれますか?
とのご質問を多くいただきます。
着物のしみ抜きっていくらぐらいかかるんだろう?
持って行って高かったら断れなくなりそう。
など不安なお客様の心理からくるものだと思うのですが、染み抜きに関しましては、着物の状態をお見せいただけなければ、何もお答えできません。
というのが、一番正しい答えになります。
しみ抜きというのは、シミの大きさ、量、範囲、シミのついた時期、何が付いたかなど、着物を見なければ、判断できません。
そして、私共、着物屋がシミを抜く作業をするわけではございませんので、その場で、お見積りすることもできません。
仮にお店で判断してお見積りをするところがあるとすれば、かなり高いお値段を最初で提示していると思います。
では、着物屋さんに持って行ってもダメなの?
と思われるかもしれませんが、そうではございません。
私共ができることは、お客様のお着物をお見せいただき、これまでの経験で、とれそうなシミなのか、とれなそうなシミなのか、とれないとしたら、仕立てでかくす方法はないだろうか、金彩加工や染色補正でどうにかできないだろうかなど、いろんな角度からご提案をさせていただく事、そして、どの加工屋さんに出すかという判断が私共の一番の仕事になります。
渡久ではしみ抜きや丸洗い・紋入れなどの加工をお願いする加工先が5件ございます。
なぜ5件もの加工先と取引をしているのか。
ずばり、技術の差、スピードの差、お値段の差などがあるからです。
値段は安いけど、難しいしみは落としきらない。
技術は素晴らしいけど、値段が高い。
急ぎの加工には対応してもらえない。
など、加工屋さんもそれぞれです。
お客様のお着物の状態をお見せていただき、お召しになられるお日にちなど、ご要望をお伺いし、どの加工屋さんにお願いするか考えて、加工に出させていただきます。
そして、一番重要にしていることは、どの方法が、一番お安くで、できるかという事を重要にしています。
例えばですが、簡単なしみ抜きの場合、どの加工屋さんに出してもしみを落とせます。
結果が一緒だとしたら、一番安くでしてもらえるところに出した方が、お客様のためになりますよね。
とれるかな、とれないかなと迷うシミに関しては、まず安い加工屋さんに見積もりをお願いします。
そこで、とれないと判断された着物に関しては、違う加工屋さんに再度見積もりをお願いします。
正直、手間な作業ですが、やはり、お客様に少しでもお安くお届けしたいという気持ちで、この手間はおしみません。
このように、しみ抜き1点でも、実はいろんな事を考えながら、加工先が決まっていきます。
たまに、別な着物屋さんで、しみが落ちないといわれたのですが、あきらめきれず、持ってきてみました。というお客様もいらっしゃいます。
当社でお預かりしたら、簡単にしみを落とせることがございます。
どうしてだとおもいますか?
それは、加工先の選別にあります。
当社のように、5件もの加工先と取引しているお店ばかりではありません。
1件の取引先しかないお店だとしましたら、その加工先にできないと断られれば、お客様にできませんとお答えするしかないですよね。
クリーニング屋さんでも同じです。
まさに、その差があります。
着物の丸洗いやしみ抜きは着物を専門で取り扱っているところをおすすめ致します。
そして、一番重要なことは、お見積りが出たときに高いと思ったら、どうぞ、お気軽にお断りください。
当社が出しさせていただくお見積りは加工する職人さんの手間代で、シミを落とすために必要な金額です。
その金額でなければ、落とせないしみ抜き代であり、高い金額を請求しているものではございません。
難しいしみに関しては当然お値段も高くなります。
金額と着物の使用頻度・思い入れなどをよくお考えの上、ご判断下さい。
高いと思えば、断っていただけばいいんです。
選択権はお客様にございますので、いくらぐらいするかな?
高かったら断りにくいかな?
無理にすすめられないかな?
と思う前に、着物をお持ちになって、金額を見てご判断下さい。

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